ホーム > コラム > Vol.12 環境問題とPMG -アメリカ出張を振り返って その2-

Vol.12 環境問題とPMG -アメリカ出張を振り返って その2-

さて、ニューヨークに入ったとたん、驚いたことが幾つかある。環境問題についてそれほど積極的でないと思っていたアメリカであったが、市内を走るYellow Cabの中には、ハイブリッドカーが結構混じって走っている。しかも日本製だけではなく、アメリカ車のハイブリッドカーも走っている(失礼!)。調べてみると、ブルームバーグ市長は、市内のタクシーについて、積極的にハイブリッド化を進めており、2012年までに全てハイブリッドカーにするとか。(関連記事 NYTimes)
 
また、私が泊まったホテルでは、ライトというライトはほぼ全て電球型蛍光灯である。日本ではまだまだ通常の電球が多いことを考えると、徹底されている。聞けば米国最大の小売店Wal-Martが積極的に消費者に働きかけ、割安な価格でこうした電球型蛍光灯(CFL)を提供してきたのが大きく普及に貢献したとのこと。
(関連記事 NYTimes) 
 
更にマンハッタンの大きな書店に入れば、環境問題に関する書籍がレジ前の特等席に山積みされている。どんなものがあるかと思い見てみると、オバマ大統領のグリーンに関する方針演説、ゴア元副大統領の関係書、「ビジネスをどうグリーン化するか」、といったテーマや、「グリーンビジネスで儲ける100の方法」などある。ちなみにこの本は買いました(笑)。
 
そうした中、ワシントンとボストンいる私の知り合いを訪ねると、やはりここでもグリーンの話しで盛り上がる。ワシントンではカリフォルニアのように都心部に入る車の制限があり、ハイブリッドカーでないと一人の通勤では許されないようである。ちなみに彼は大のBMWファンであったが、今ではLexusのハイブリッドカーを運転している。また、ワシントンの地場企業においては、政府が強力にグリーンを推進するので、地元企業が恩恵を受けているとの事。軍事関係よりも現在はそちらの方が羽振りが良いらしい。
 
また、ボストンで数年ぶりに出会った私の元ボスは、今ではITのコンサルタント業を辞め、Green Buildingを推進するためのコンサルタントとして活躍している。Green Buildingとは、環境に優しいビルを評価し、その評価ポイントに応じて、プラチナ・ゴールド・シルバーといった評価を与えている。何でもこれまでのITコンサルタントで鍛えたロードマップを描くノウハウや、企業がその為に行わなければならないプロジェクトのマネジメントは、ある意味ITの繁栄期に似たところがあるらしい。ちなみにこのGreenBuildingは、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)というプログラムにより推進されている。
 
そういう意味では、昔のシステム部がIT本部と呼ばれ、システム部長がCIOと呼ばれるようになったことを考えると、こうしたGreenへの取り組みが、各企業にとって重要な戦略になるかも知れない。素晴らしく収益を稼ぐモデルになるというよりは、会社の社会的責任CSRによって、企業の取り組みが評価され、マーケティング的にも重要なテーマになるであろう。将来各企業は、自分たちの活動を統括し、戦略を立てるChief Sustainable Officer (CSO) やChief Green Officer (CGO)といった新しい職種が誕生するかも知れない。彼のこうした発言は少し未来を感じさせる、力強さがあった。
 
ブルームバーグ市長のハイブリッド化推進運動、全米規模でCFLを積極的に進めたWal-Mart、Green Buildingを進めているLEEDプログラム、それぞれ戦略やコンセプトが明快である。一方、日本はどうか?確かにハイブリッドはトヨタが積極的に進めているが、東京のタクシーでこうした運動があるか?大手スーパーや電気店がCFLを低価格で戦略的に進めてきたか?LEEDのようなLeadershipを取るプログラムが日本にどれだけ展開されているのか?やや疑問である。
 
Greenやエコといった活動は、まだまだ言葉だけが独り歩きしており、活動の方向付けや具体的なアクションやプロジェクトに落とし込めていないと思う。従って、弊社の戦略としても、積極的に関与はしたいと思うが、それだけではまだまだ不十分であると思う。
 
但し、これまでのITプロジェクトも、結果的に環境に対して働きかけることはできるはずである。本編その1でご紹介した「ITはCO2排出量の2%を占める」は逆に言えば、まだ98%の世界がITが関与していないものであり、ITが環境改善に役立つということである。車の衝突実験を例にすれば、実際にそうした衝突実験を行わなくても、現在ではシュミレーションソフトで相当精度の高い結果が得られる。こうしたIT技術のおかげで、ITは2%のCO2を排出しているというレッテルを貼られるのではなく、より積極的に世に貢献できるのである。
 
CGO、CSOが生まれるまでの間、弊社はこうしたITプロジェクトを推進しながら、積極的にGreen化に貢献したいと思う。
 
文責 木暮