今回は、インドにITプロジェクトの一部をアウトソースしたり、協業でITプロジェクトを進めるケースを考えてみたいと思います。
●インド企業の存在感
プロジェクトを担当する中で、近年特に感じるのは、インドの存在感です。それは単に、プロ ジェクトメンバーにインド人が増えてきているとか、クライアントのビジネスパートナーにイ ンド企業が選ばれることが多くなったという「数」だけの理由ではないようです。
彼らと接していて感じるのは、成長への意欲です。私が接したインド人プロジェクトメンバー からは、インドの将来をプラスに捉え、その中で自らも成長し世界へ乗り出していこうという 強い意欲を感じます。ある大企業の経営者も、なぜインド企業をビジネスパートナーに選ぶの か?という私の質問に、彼らのポジティブな考え方をまず最初にあげました。
●インドの成長
もちろん、インド経済は常に楽観視できるような状況ではなく、難しい局面を意欲だけで打開 できるようなわけではありません。実際、世界はインドに注目していますが、まだ疑心暗鬼であるようです。たとえば、インドの株式市場は、プラスにもマイナスにも極端に反応しています。2008年は2月から3月中旬にかけて、日本と米国の株式市場の平均株価が 若干低下した際、インドでは約15%もの下落を記録しました。
さながら、インド経済はジェッ トコースターのような動向を見せています。
しかし、長期的な視点では、今後もインドの成長が続いていくことには変わらないでしょう。 国民の購買力の高まり、若年層の増加に支えられた豊富な労働人口に支えられ、今後総人口で も中国を抜いて、世界一のマーケットになるという予想さえあります。
また、インドにおけるIT関連産業の成長も著しいものがあります。インドNASSCOM(ソフトウェ ア・サービス協会)によると、1998年度では60億ドルに過ぎなかったインドのIT関連産業の売上 げが、2007年度には520億ドルにまで急激な成長を遂げました。
インド企業は、その成長力においても、存在感を増してきています。
●<インドプロジェクト>の実際
では、インドとのプロジェクトは今どのような状況にあるのでしょうか。狭い範囲ながらも、私が見たインド企業との協業、インド企業へのアウトソースプロジェクトにおいては、残念がら、思い通り の成果に結びつかず、インド企業がよい評価をうけられない場合も少なくないようです。この コラムを読んでいる方々にも、<インドプロジェクト>で、難しい局面や、思いがけない驚きを経験された方も多いのではないかと思います。
一方で、あるインド人マネージャーは、そうした評価について「インド企業が本来の力を発揮 できないのは非常に残念で、インドのIT技術力が過小評価されてしまうことがもったいない」と言っていました。
そんな<インドプロジェクト>おいて、インド人の考え方、インドの成長の背景を知り、インドとのビジネスのあるべき姿を模索していくことはとても大事だと思います。しかし、私があ えて注目したいのは、ビジネスパートナーとしての「自社」のプロジェクトマネジメント能力 です。たとえば、インド企業へアウトソースする場合の<発注力><管理力>といった監視・ コントロールの技術、共同でプロジェクトを進める場合の<協業力>ともいうべき計画づくり ・チームづくりの技術です。
プロジェクトがメンバーの協働によって動く以上、こういった能力は基本的なことではありま すが、<インドプロジェクト>であっても、こうした基礎中の基礎を大事にするという姿勢が 重要ではないかと思います。
文責:高橋