グローバルのヒント
PMのあたまの中
Consultants' Voices #01 予測がつかない。それが、面白い
「毎日が、違う」

私がコンサルタントの仕事について驚いたのは、「典型的な1日」というものが、実は存在しないという点でした。 会議が続く日もあれば、1日中ひとりで資料と向き合う日もあります。曜日によって顔ぶれも議題もまったく違い、「これが決まった型です」と言える1日を、まだ経験したことがありません。
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大手企業の複数のプロジェクトに、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)として携わっています。週次定例、社内の進捗共有、他部署やベンダーとの打ち合わせなど、性質の異なる会議が1週間を通して続きます。多くは30分単位で進みますが、その短い時間の中で何を決めるかが、プロジェクト全体に影響します。
ある日の朝は、移動中の電車の中で、その日最初の定例のアジェンダを見直すことから始まります。会議が終わってからようやく、自分の時間として資料作成に取り掛かることも少なくないです。ただ、これも数ある1日のうちの、たったひとつに過ぎません。
しかし、会議そのものよりもさらに頭を使うのは、その「準備」の方です。
あるプロジェクトでは、「定例で何を決めるべきか」が顧客側でも整理されていませんでした。そこで、本番前に顧客と一緒に、進め方そのものを整理する時間を設けることにしました。いま何が分かっていて、何を決めなければ前に進めないのか。その土台を整えて初めて、本番の30分が意味のある時間になります。
「仮説を立ててみる」
プロジェクトマネジメントには、体系立った知識「PMBOK(ピンボック)」があり、それを土台に取り組んでいます。ただし、教科書通りに進める場面は、ほとんどありません。 案件ごとの状況に合わせて取捨選択し、時に生成AI(人工知能)を壁打ち相手にしながら、最終的に仮説を組み立て直します。知っていることと、使いこなせることの間には大きな距離があります。その距離を埋める作業こそが、この仕事の本質だと感じています。
誤解を恐れずに言えば、今でもわからないことはたくさんあります。顧客の業務や組織の背景は、その会社の人にしか分からないことも多いからです。だからこそ、必要なのは、「分からない状態に耐える力」ではなく、限られた情報から仮説を立てる力です。
以前は、「これはどういうことでしょうか」と質問するだけでした。しかし今は「このように理解しているのですが、合っていますか」と、自分なりの考えを持って確認するようになりました。仮説を持って対話することで、顧客とのコミュニケーションも変わったと感じています。働き始めた頃は、自分の考えることはたいてい顧客がすでに考えており、手を動かすことでしか価値を出せていないのではないかと感じていました。
転機となったのは、進め方そのものを整理する提案をしたことでした。少しずつプロジェクトが軌道に乗り始めた頃、出張先で、顧客から「助かりました」と声をかけていただきました。その一言で「自分の考えにも価値があったんだ」と初めて実感できました。
「対話しながら答えを作っていく」
プロジェクトマネジメントとは、コミュニケーションの仕事だと思っています。
相手に合わせて伝え方を変え、前提をすり合わせながら、一緒に答えを探していく。予定通りに進まないからこそ、仮説を立て、確かめ、また考え直す。この繰り返しです。
予定通りに進まない状況を、面白いと思えるか。相手と対話しながら答えをつくっていくことを楽しめる人には、この仕事はきっと面白いはずです。 (おわり)