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グローバルのヒント

Indo Watcher

2015年1月20日

第3回 盟友・迷友

 総選挙も終わり、予想外の大差でBJPが勝利した。停滞するインド経済から脱却するために、多くの国民は経済改革の実績があり、強いリーダーシップを持つモディ氏が首相となり、実行力を発揮してくれることに期待したわけである。実際、彼が州首相を長く務めたグジャラード州では、多くの外資を呼び込み、インドの中でも高い経済成長を実現してきた。官僚主義がはびこるインドにおいて、積極的に外資を呼び込んできたモディ氏の行動は、官僚の考えすらも変えたとの評もある。 

 “Red carpet, not red tape for investors!” モディ首相が掲げたスローガンの一つだが、要は外資に対しての彼の考え方がこのフレーズに凝縮している。これまで外資に対し、規制することが仕事だった官僚たちにとっては、目からうろこであったことだろう。停滞する経済に待ったなしのインド。モディ首相がグジャラート州で推し進めてきた経済改革が、インド全土で通じるかどうか、今後の手腕が見ものである。 

 モディ首相就任の8カ月前にインド準備銀行(RBI)の総裁になったのがラジャン氏だ。彼は絵に書いたようなエリート街道を突き進んできた人物である。シカゴ大学経営大学院教授だった彼は生粋の経済学者であり、IMFのチーフエコノミストにもなった。 

 この二人、時をほぼ同じくしてインドの政治・経済の檜舞台に登場した。インドにとってはとてもラッキーなことだと思う。今後のインド経済を背負うことになった二人には、ある共通点がある。二人とも頻繁に“改革”という言葉を発する。 

 もちろんラジャン氏はRBI総裁であることから直接政治に関わることはできないものの、例えば物流網を整えることで、農作物の安定的な供給が可能になり、物価安定にもつながる点について積極的に言及する。自分のミッションのために、政府に物申す存在でもあるわけだ。 

 一方モディ首相も、上記のように経済改革を力強く押し進める第一人者である。この二人が同じ方向を向いていることが、インドにとって大いにプラスとなろう。 

 二人が経済改革を進める盟友となるか、はたまた、迷友となるのか、今後のかじ取りに期待したい。