グローバルのヒント
木暮知之のインサイト
互いに教え合う効果―ピア・ラーニングについて―
学生時代、友人と勉強を教え合ったりした経験はありますか。1人で勉強するよりもやる気が出て、記憶に残ったのではないでしょうか。この効果については学術的に研究されています。仲間同士の間で、積極的に助け合い、支え合うことによって知識や技術を習得することを「ピア・ラーニング」と呼びます。主に学校現場でピア・ラーニングの学習効果が研究されてきました。最近は、学校だけでなく社内の人材育成に活かす流れも出てきています。1970年以降、164以上もの研究が行われ、学業成績にプラスの影響を与えることが分かっています。(※1)
ピア・ラーニングと言えば、冒頭の例のように特定の知識や技術を教え合うことを想像する方が多いと思いますが、当社が提供するイマーシブ・リアリティ研修も広義のピア・ラーニングと言えます。イマーシブ・リアリティ研修では、受講者が助け合い、時には衝突しながらゴールへ向かっていきます。明示的に知識を教えるわけではありませんが、キャラクターを通してソフトスキル(交渉技術など)を発揮する相手を見て、聞いて、スキルを学んでいくのです。
また、イマーシブ・リアリティ研修は受講者が共通の目的を持ちながらも、個人が責任を負います。受講者個々人の判断や行動が、その後のストーリーに直接影響するからです。この「グループ共通の目標」と「個人の責任」が合わさることで、学習効果が上がることが研究で示されています。(※2)
さらには、ピア・ラーニングは自尊心や自制心を高め、学習内容の定着を促進することが研究で示されています。(※3)イマーシブ・リアリティ研修では、スキルをその場で学ぶだけでなく、記憶に定着させ、研修後も持続的にスキルを磨いていけるようサポートしていきます。(了)
いかがでしたか。イマーシブ・リアリティ研修について、もっと知りたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください。
【参考】
(※1)D.W.Johnson, R.T. Johnson. (2001). Learning Together and Alone: Cooperative, Competitive, and Individualistic Learning
(※2)Slavin, R. E. (1995). Research on cooperative learning and achievement: What we know, what we need to know. Baltimore, MD: Center for Research on the Education of Students Placed at Risk, Johns Hopkins University.
(※3)Schunk, D. H., & Zimmermann, B. J. (Eds.). (1994). Self-regulation of learning and performance. New York: Lawrence Erlbaum