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グローバルのヒント

木暮知之のインサイト

2025年10月1日

失敗から学ぶ力を組織でどう育むか ―Fail Fastの精神―

ビジネスの世界は、先が読みにくい時代に突入しています。新しいサービスや仕組みを素早く試すことが求められる一方で、「失敗を避けたい」という気持ちが根強いのも現実です。ですが、成功だけを追い求めるのは非現実的です。大事なのは「挑戦すること」、そして「失敗から何を学び取るか」ではないでしょうか。

 

ここで注目されるのが「Fail Fast(フェイル・ファスト)」という考えです。直訳すると「早く失敗せよ」ですが、本質は「小さな実験を早く繰り返し、そこから学んで軌道修正する」ことにあります。つまり失敗を奨励しているわけではなく、大きな失敗を避けるための方法論です。シリコンバレーのスタートアップやアジャイル開発の現場では、この考え方が広く実践され、成果を上げてきました。

 

米IT大手IBMによると、Fail Fastは従来型の戦略立案と対立する概念ではなく、むしろ補完関係にあると指摘されています(参考1)。長期的なビジョンや方向性を描く戦略があるからこそ、実験的な試行錯誤を行い、その結果から素早く学んで次に活かすことができる。Fail Fastは「戦略の代替」ではなく「戦略を現実に適応させるための実践手法」なのです。

 

とはいえ、こうした文化を組織に根付かせるのは容易ではありません。多くの企業では「失敗を責める雰囲気」や「短期的な成果のみを重視する評価制度」が残っており、挑戦そのものをためらわせてしまいます。失敗が属人的に処理され、学びが組織に共有されないケースも少なくありません。

 

そこで効果を発揮するのが、「PM Global イマーシブ・リアリティ研修™」※です。実際の業務に近いシナリオの中で判断や行動を試し、あえて「失敗」を経験することで、自分の思考や行動の癖に気づくことができます。さらに、その場でのフィードバックや参加者同士の共有を通じて、失敗が「恥」ではなく「学び」へと変わります。現場ではリスクがあって挑戦できないことも、安全な環境だからこそ思い切って試せるのです。

 

変化が激しい時代において、成功体験だけでは十分ではありません。「挑戦・失敗・学びのサイクルをいかに早く回せるか」が組織の成長を左右します。Fail Fastの精神を実際に体感できる場としてPM Global イマーシブ・リアリティ研修™は重要な意味を持つと考えています。(了)

 

     

 

いかがでしたか。PM Global イマーシブ・リアリティ研修™について、もっと知りたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください。

※「PM Global イマーシブ・リアリティ研修」は商標登録出願中です。

 

【参考】

(1)IBM Think, Failing Fast, Traditional Strategy, and How They Work Together(2023年)
https://www.ibm.com/think/insights/failing-fast-traditional-strategy-and-how-they-work-together