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グローバルのヒント

木暮知之のインサイト

2026年7月1日

「敬意ある率直さ」が多様性を力に変える

先日のワールドカップ、日本対ブラジル戦。結果は惜しくも敗れましたが、日本代表の戦いぶりは多くの人の心を動かしました。

試合そのものも素晴らしかったのですが、私がもう一つ印象に残ったのは、本田圭佑さんの解説でした。

本田さんは、現役の日本代表選手を「久保さん」「遠藤さん」と、必ず「さん」付けで呼びます。

一方で、プレーについては一切遠慮しません。

「ここはシュートを選ぶべきだった。」

「この判断は違ったかもしれない。」

率直に、自分の考えを述べます。

 

私は、この姿勢にとても考えさせられました。

そこには単なる礼儀以上のものがあります。

相手への敬意を持ちながら、意見は率直に伝える。

人格ではなく、行動について議論する。

この姿勢こそ、これからの組織に求められるコミュニケーションではないでしょうか。

 

近年、多くの企業で「Diversity(多様性)」という言葉を耳にします。

異なる価値観や文化、経験を持つ人が集まることは、組織にとって大きな強みになります。

ただ、私は時々、Diversityが「相手を受け入れること」だけだと理解されているように感じます。

もちろん、相手を尊重することは大切です。

とはいえ、それだけでは新しい価値は生まれません。

また、自分と違う考えを頭ごなしに否定してしまえば、多様性は対立へと変わってしまいます。

本当のDiversityとは、その中間にあるのではないでしょうか。

 

相手は自分とは違って当然。

だからこそ、自分の価値観だけで判断しない。

そのうえで、違うと思ったことは率直に伝える。

そして、お互いの考えをぶつけ合いながら、一人では思いつかなかった答えを探していく。

私は、この姿勢を「敬意ある率直さ」と呼びたいと思います。

 

プロジェクトマネジメントの現場でも、まったく同じことが起こります。

営業、IT、現場、経営、海外拠点。

それぞれが異なる立場を持ち、それぞれに正しさがあります。

だからこそ、重要なのは「誰が正しいか」を決めることではありません。

「プロジェクトにとって何が最善か」を、一緒に考えることです。

そのためには、相手の人格を尊重しながらも、意見や行動については率直に議論する勇気が必要です。

 

本田さんの解説を聞きながら、私は改めて感じました。

敬意と率直さは、決して相反するものではありません。

むしろ、相手への敬意があるからこそ、本音で議論ができるのです。

Diversityは、違いが存在する状態を指します。

一方で、その違いを組織の力へと変えるのは、「敬意ある率直さ」です。

違いを恐れず、違いを押し込めず、違いを対話によって価値へ変えていく。

それこそが、多様性を本当の競争力へと変える第一歩なのではないでしょうか。

 

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